飛行試験中のMRJ2号機=5月末、愛知県豊山町の県営名古屋空港
三菱重工業の子会社、三菱航空機は11日、開発中の小型ジェット旅客機MRJを欧州企業から初めて受注したと発表した。スウェーデンの航空機リース会社ロックトンと20機の受注で基本合意した。有望な欧州市場に販路を広げる足がかりとし、営業活動に弾みをつけたい考えだ。
特集:MRJ
11日に英ファンボローで開幕した世界最大級の航空ショーで発表した。20機のうち10機はキャンセル可能で、2020年から納入を始める。MRJの受注はこれで8社目、機数は計447(キャンセル可能分を含む)になる。
MRJは座席数が90~70で、「リージョナルジェット」と呼ばれる近距離輸送用の旅客機市場への参入をめざし、開発と販売を進めている。これまでに全日本空輸、日本航空のほか、米国やミャンマーの航空会社などから受注を得たが、欧州での受注はなかった。
近距離でも飛行機の利用が盛んな欧州は、リージョナルジェットの発祥地とも言われ、英コンサルタント会社アセンドによると、この分野で世界の2割弱を占め、米国に次ぐ市場だ。航空会社が実績を重視して機体を選ぶ傾向が強い欧州で受注に成功すれば、MRJの信用を高められる。三菱航空機の森本浩通社長は記者会見で、「欧州での顧客基盤の拡大に向け、大きな弾みになる」と述べた。