伴走船から撮影した午後3時ごろの草舟「どぅなん号」の様子=3万年前航海徹底再現プロジェクト事務局提供。与那国島も、目的地の西表島も見えない場所を航行中という 国立科学博物館などのチームによる、約3万年前に人類が沖縄に渡ってきた航海の再現実験で17日早朝、沖縄県与那国島から草舟2隻が出航した。乗り込んだのは与那国島と、到着地の西表島に住む人たちを中心にしたメンバー。30時間以上かけて約75キロ東の西表島を目指す。 【最新情報】草舟航海をタイムラインで速報中 特集:3万年前の航海再現プロジェクト 午前7時前、2隻は外洋に向かって浜を離れた。7人ずつ乗り込み、6人がかいでこぎ、1人がかじを取った。波がサンゴ礁にあたって砕ける海岸付近の難所を乗り越え遠ざかっていく草舟を、島民が水際の岩場から見送った。 舟には、3万年前も存在した可能性があるドライフルーツやナッツ類、干し魚、水などを積んだ。安全確保のため伴走船もつく。当初は、途中で伴走船から食料の補給をしない予定だったが、2日目に食べるそうめんは、食中毒を防ぐために伴走船から渡すことになった。 今回の実験は、現生人類ホモ・サピエンスが、約3万年前に南方から琉球列島に渡ってきた沖縄ルートの一部と見られる与那国島から西表島までの航海を再現して検証するのが目的。当時は丸太を削ることのできる斧(おの)がなかったと考えられるため、与那国島に自生し、貝殻でも刈り取れる水生植物とツル性植物を材料にした草舟での実験になった。 伴走船に乗った航海実験の代表、国立科学博物館の海部陽介・人類史研究グループ長(47)は出航前、「3万年前の人類がどうやって海を渡ったのか、遺跡の人骨や石器の研究だけでは分からない。偶然の漂流で渡るのは難しかったと思う。食料や水などを準備し、よい天候を待って、意思を持って舟を出したと考えられる」と話した。 草舟は当初、12日に出航する予定だったが、強風と高波の影響で順延されてきた。(神田明美) |
草舟2隻、30時間超かけ西表島へ 3万年前の航海再現
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