車を制御する技術がないのに運転して死亡事故を起こしたとして、全国で初適用となった自動車運転死傷処罰法の危険運転致死(未熟運転)などの罪に問われた大阪府豊中市の少年(17)の裁判員裁判で、大阪地裁(伊藤寿裁判長)は2日、少年を大阪家裁に移送する決定をした。検察側は懲役4年以上8年以下の不定期刑を求刑していた。
大阪地裁は「運転してみたいという安易で幼稚な動機だが、刑事処分するほど反社会的で悪質とはいえない」と指摘し、「被告の資質は保護処分による専門的かつ教育的な働きかけによって改善する余地が大きい」と理由を述べた。
決定によると、少年は昨年8月13日午前9時20分ごろ、車の運転経験も道路状況に応じて進む技能もないのに、兵庫県尼崎市の路上で知人のワゴン車を無免許運転。建物に衝突した弾みで自転車の男性(当時80)をはね、助けずに逃げた。大阪家裁から検察官送致(逆送)を受けた大阪地検が同年10月、未熟運転の罪で起訴していた。
傍聴した男性の遺族は取材に対し、「何ともやりきれない思いだ。到底受け入れられない」と話した。