北朝鮮による3日の弾道ミサイル発射時に、政府が自衛隊に迎撃態勢をとらせる破壊措置命令を出していなかったことがわかった。発射兆候の事前探知は難しくなっており、政府は平時から破壊措置命令を出し、迎撃に備え続けることが可能かどうか検討を始めた。
3日に発射されたミサイルは、中距離のノドン(射程1300キロ)の可能性が高く、弾頭は秋田県の西方約250キロの日本海に着弾した。菅義偉官房長官は3日の記者会見で、破壊措置命令の発出の有無について「事柄の性質上、コメントは控えたい」と述べたが、政府関係者によると、破壊措置命令は出ていなかった。
北朝鮮は、事前の兆候を把握しづらい移動式発射台を利用したとみられる。政府は、北朝鮮が今後も弾道ミサイルを発射させる可能性が高いと判断。事前の兆候がつかめない場合も想定し、破壊措置命令の常態化の検討に入った。自衛隊法は、ミサイルが飛来する恐れがなくなった場合は「速やかに命令を解除しなければならない」と規定。法解釈に問題がないかどうかを確認する。
ミサイルへの迎撃態勢は、イージス艦が搭載している迎撃ミサイル「SM3」と、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の二段構え。展開の長期化は「隊員の健康管理や、艦船の修理、他の任務との兼ね合いが課題」(自衛隊幹部)とされる。防衛省は今後、部隊運用の見直しについて精査する。(二階堂勇)