試合後、応援席に向かってあいさつに駆け出すクラーク国際の選手たち=12日午前、阪神甲子園球場、内田光撮影
(12日、高校野球 聖光学院5―3クラーク国際)
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創部3年目で甲子園に初出場したクラーク国際(北北海道)は12日、聖光学院(福島)戦で中盤までリードするなど善戦したが、常連校の底力に3―5で敗れた。
同校は全国にキャンパスがある広域通信制の高校だ。だが、野球部34人は普通の高校生活とあまり変わらない。北海道深川市の寮に住み、平日は近くにある校舎に通う。
2014年春にできた野球部は、3年生1人と1年生8人でスタート。駒大岩見沢で「強打のヒグマ打線」を育てた佐々木啓司監督(60)の指導を求めてやってきた選手や、関西の強豪校で挫折して転校してきた選手など、様々な理由で全国から集まった。
入学当時は、道内出身者と道外出身者の間に壁があったという。道内出身で主将の阿部勇斗君(3年)は「仲良くなるのが得意じゃなく、(道外の部員を)遠くから見ていた」と話す。
練習試合を重ねて少しずつチームが出来ていったが、昨年までの公式戦通算成績は3勝。佐々木監督が掲げた「3年目で甲子園出場」という目標も、阿部君は「夢なのかなという時期もあった」と振り返る。
昨年、室内練習場ができ、1・5キロの鉄製のバットでボールを打つ「ヒグマ打線」譲りの練習を採り入れ、筋肉トレーニングや充実した食事で体を作った。速球に力負けせずに打てるようになり、飛距離も出るようになった。
寮での食事作りは佐々木監督の妻千明さん(59)が担い、監督の次男達也さん(32)も部長として練習を指導。佐々木一家が部員の面倒をみることで家族のような一体感が生まれた。
阿部君は「3年生はずっと一緒にいた。団結力のレベルが違う。選手の多くがヒットを打てて持ち味の打撃を甲子園で披露できてよかった」と話した。(佐藤靖)