堺市の自宅浴室に長男（当時３）を監禁したとして両親が逮捕された事件で、大阪府警は１７日、養父の常峰渉（つねみねわたる）容疑者（３２）と実母の美香容疑者（２３）を殺人容疑で再逮捕し、発表した。渉容疑者は「風呂に沈めて殺した」、美香容疑者は「何もしていない」と供述しているという。

捜査１課によると、両容疑者は昨年６月１４日午後７時４４分～１５日午前１時４４分、同市堺区柏木町４丁の自宅で、長男の英智（えいち）ちゃんを何らかの方法で殺害した疑いがある。英智ちゃんは１５日未明に意識不明で搬送され、３日後に死亡した。脳に酸素が十分に届かない低酸素性虚血性脳症が死因だった。窒息状態で、肺に少量の水がたまっていた。

渉容疑者は「（英智ちゃんが）邪魔な存在だった」と供述。英智ちゃんの遺体にはあざなどの痕が約４０カ所あり、府警は虐待の疑いでも捜査している。

府警は、浴室に鍵をかけ、英智ちゃんを監禁した容疑で今年７月２７日に２人を逮捕。両容疑者は「何度も浴室に閉じ込めた」と容疑を認めているという。大阪地検堺支部は１７日、２人を監禁罪で起訴した。

堺市子ども相談所（児童相談所）によると、英智ちゃんは生後４カ月から約２年半、児童福祉施設に預けられ、昨年３月に帰宅。４月には通報を受けた同所が一時保護したが、医師の鑑定などから虐待ではないと判断し、自宅に戻した。同６月にも一時保護を検討したが、見送ったという。

深田仁志所長は「当時はあれ以上の対応は取りようがなかった。捜査を踏まえ検証したい」と話した。堺市は近く有識者による検証部会を開く方針。