大和晃さんの通夜のため斎場に入る(左から)父の卓也さん、兄の翔吾さん、母の忍さん=20日午後3時3分、熊本県阿蘇市、福岡亜純撮影
熊本地震で行方不明となり、約4カ月後の今月、崩落した阿蘇大橋近くの川に埋もれた車の中から遺体で発見された熊本県阿蘇市の大学4年生大和(やまと)晃(ひかる)さん(22)の通夜が20日、同市の斎場であった。親族や友人、知人ら約500人が訪れ、早すぎる突然の死を惜しんだ。
「もうすぐ家に帰れるよ」 自力捜索続けた家族の4カ月
祭壇の遺骨の上には、ほほ笑む晃さんの写真が飾られた。「一番晃らしい表情」と家族で選んだという。晃さんの父、卓也さん(58)はあいさつで「小さい頃から明るくて笑顔のかわいい子供でした。家の農業や母親の炊事の手伝いもよくしてくれるやさしい子でした」と晃さんについて語った。そして4月16日に連絡が途絶え、川に捜索に行った日々、発見までを振り返り、「いろいろな方の支援で彼を私たちの手に戻していただき、本当にありがとうございました」と述べた。
晃さんの友人や捜索を手伝ったバスケットボールの仲間たちもたくさんかけつけた。大学の後輩で留学生との交流サークルで一緒だったという熊本市の小堀敬良さん(21)は「やさしくて一緒にいて楽しい先輩だった。いつも車を出して遊びに連れていってくれた」と振り返った。その車で晃さんは土砂崩れに巻き込まれ、小堀さんは「あの車のことを思い出すと胸が詰まります」と話した。
晃さんの友人の会社員西川真生(しんせい)さん(22)=熊本市=は地震発生後の4月15日夜、水を持って訪ねてきてくれた晃さんを「またね」といつものように送り出したという。直後に本震が起き、晃さんと連絡がとれなくなった。「信じたくなくて、どこかにいるだろうと思ってきた。車が見つかって、受け入れていかなければいけないと思うようになった」と語った。
西川さんはこの日、友人たちから集めた晃さんの写真を持参し両親に渡した。そして晃さんに向けて、「今までありがとう」と心の中で呼びかけた。