検索サイト「ヤフー」で自分の名前を検索すると人格権を損なう記事が表示されるとして男性から検索結果の削除を求められ、削除の範囲などを争っていた検索サイト「ヤフー」に対し、東京地裁はタイトルやアドレスなども含めて結果のすべてを削除すべきだとの決定を出した。ヤフー側は、検索で表示されるページの「要約」などに限って削除すればよいと主張したが、地裁は認めなかった。
ヤフー検索結果「削除不要」 「雑誌で過去公表」証拠に
グーグル検索の削除命令、半数を取り消し 東京地裁
男性は、自分の名前を検索すると暴力行為を連想させる集団との関係が表示されるとして、ヤフーとグーグルに削除を求めて仮処分を申し立てた。ヤフーについて東京地裁は昨年12月、男性が過去の雑誌のインタビューなどで集団との関係を自ら公表していたとして、男性が削除を求めた47件のうち36件は削除不要と判断。男性が今も集団に所属しているとの印象を与える11件の削除を命じた。
ヤフー側は、削除は不要だとして異議を申し立て、たとえ削除が必要な場合でもリンク先のページの要約や、問題になる言葉だけを表示しないようにすれば、ページのタイトルやアドレスを削除する必要がないと主張していた。
だが、関係者によると今回の地裁の決定は、要約などの削除だけでは「利用者が男性の人格権を侵害する記事に容易にアクセスできる」と指摘。タイトルとアドレスも含めて検索結果全体を削除するべきだと判断した。
グーグルに対しては、東京地裁が2014年10月、122件の削除を命令。一方、同地裁の別の裁判官が今年7月、このうち約60件について雑誌インタビューでの公表などを理由に削除命令を取り消す決定を出している。(千葉雄高)