クボタが開発を進める農業用ドローン=同社提供
農機大手のクボタは29日、来年5月をめどに、空中から農薬などをまく農業用ドローン(無人飛行機)市場に参入すると発表した。1機200万円程度を想定し、3年後に年間1千台、20億円規模の販売を見込む。
大阪市内で公開した試作機は幅1・6メートルで、6基の回転翼がある「マルチコプター」と呼ばれるタイプ。電池で動き、1ヘクタールの水田に10分で農薬がまける。技術的には自動でも飛ばせるが、人が無線で操縦する仕組みにする。ドローンメーカーのプロドローン(名古屋市)、散布機の丸山製作所(東京都)と組んで開発してきた。
タンクを背負って農薬をまくのは負担が重く、最近は無線で操縦する小型ヘリコプターでまく方式が増えてきた。国内で約2700機が登録され、水田の農薬散布面積の3分の1を担うが、価格が1機1200万円前後と高価だった。
ドローンはヘリと比べて1回の飛行時間は短いものの、低価格で小回りが利くなどの利点がある。クボタは当初、モニター販売で利用者の反応を見ながら、来年秋から広く売り出す予定。全国に販売網を持つ強みを生かし、機器の整備態勢なども整える。
■農機自動化、各社が力
国内の農業人口はこの5年で2割減り、平均年齢も67歳と高齢化が進む。海外との競争に勝ち抜くためにも、より負担が軽減できる農機が求められており、各社は開発にしのぎを削る。
無人ヘリ大手のヤマハ発動機は2018年にも、農薬を散布するマルチコプター型の無人機を売り出す方針だ。農機大手のヤンマーは、搭載したカメラで稲の生育状況をみるドローンをコニカミノルタなどと開発中だ。
クボタはドローンのほか、自動運転のトラクターを18年に実用化する方針も打ち出している。全地球測位システム(GPS)を使い、あらかじめ設定した場所を耕せる。その一部技術を使い、自動で直進を維持する田植え機を今年から売り出している。
井関農機は昨年秋、リモコンで指示を出すと自動で作業するトラクターの試作機を公開。ヤンマーはタブレット端末で操作する自動トラクターを開発中で、18年度に商品化する方針だ。(山村哲史)