講演するサウジアラビアのジュベイル外相=1日、東京都内
来日中のサウジアラビアのジュベイル外相が1日、東京都内で中東政策や日本との関係について講演した。イエメン内戦やサウジのイスラム教シーア派指導者の処刑を巡って対立が続くイランを「テロ組織に資金援助し、宗派対立を作り出している」と批判した。
ジュベイル氏はさらに、イランについて「彼らの行動を変えさせなければならない」とも述べた。これに対して、出席した在日本イラン大使館関係者が質疑応答の際に「(講演が)公平ではない。いくつかの過激派のイデオロギーは、あなたの国に影響されている」などと指摘し、応酬する場面もあった。
ジュベイル氏は内戦が泥沼化しているシリアについては「変革が必要だ。自国民を殺戮(さつりく)する政権に正当性はない」とし、アサド大統領の退陣を求めるこれまでの主張を繰り返した。
ジュベイル氏は、同国の国防相を務めるムハンマド副皇太子とともに日本を訪れている。石油収入に大きく依存する経済構造について、「刷新、多角化していく。サウジは今までよりも強い国になる」と強調。日本については「最大の貿易国の一つで、我々に政治的な問題は全くない」と述べ、友好関係を強調した。(高野裕介)