銅メダルを胸に観客席に向かって笑顔を見せる男子400メートルリレー日本チームの(左から)山本篤、多川知希、佐藤圭太と芦田創=井手さゆり撮影
(12日、陸上男子400mリレー)
44秒16。4人の走者の長所と連帯が、日本記録を0秒17縮め、銅メダル獲得につなげた。
男子400mリレー、日本が銅メダル パラリンピック
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第1走者は、右手まひの障害だけで、爆発的なスタート力を誇る芦田創。コーナーを回りながら、ぐんぐん加速すると、右足義足の佐藤圭太につないだ。義足選手に向いている直線で一気にスピードに乗る。第3走者は、右手が義手の多川知希。両足とも健在なので足首が柔らかく、義足選手よりカーブが走りやすい。100メートル11秒16、日本チーム一のスピードでバトンゾーンを長く走って、左太もも切断のアンカー山本篤の負担を軽くした。会心の走りで4位でゴールしたが、トップの米国が失格という結果が待っていた。山本は「メダルはメダル。最高です。棚からぼた餅と日本記録の更新、両方できたことがよかった」。
本番が迫る8月、本来は第1走者だった多川を、第3走者に替えた。多川の走力を生かし、レース中盤でライバルたちを一気に引き離す作戦だが、リレーで中間を走るのは初めて。急な変更はリスクでもあったが、大阪在住の山本や、愛知在住の佐藤が、多川の住む東京まで来て練習を重ねた。持ちタイムでは上位3カ国は遠い存在だったが、誰も投げ出さず、山本は「みんながリレーで同じ方向を向けた」。
多川はいう。「五輪は9秒台がいなくても銀をとった。パラリンピックは10秒台がいなくても銅メダル。チームワークで勝つことができた」。可能性を追求したチームの成果を誇った。(後藤太輔)