ウイルスファイルを添付したメールを送りつけ、パソコンを感染させる「標的型メール攻撃」。今年上半期(1~6月)に警察が認知したこの種のサイバー攻撃は1951件だった。ウイルスファイルは、昨年はWord文書形式が半数以上だったが、今年上半期は圧縮ファイル形式が99%を占めた。警察庁は、犯人が対策をかいくぐるため手口を変えたとみている。
警察庁が15日発表した。標的型メール攻撃は、メールに添付されたファイルを開くと、パソコンがウイルスに感染して情報を盗み取られてしまう。急増が確認された圧縮ファイル形式では、圧縮ファイルの中にウイルスが仕込まれた別のファイルが収められており、業務などとの関連を装ったものもあるため、不用意に開かないよう注意が必要という。メール自体も、職場内などからの送信を偽装したとみられる事例が91%を占めた。
警察庁は、国内の先端技術企業など7402団体(7月現在)とサイバー攻撃に関する情報を共有する仕組みを通じて標的型メール攻撃の事例を把握している。今年上半期は昨年下半期より17・2%減ったものの、その前の2期よりは3割前後増えていた。
このほか、中央省庁や地方自治体、空港などのホームページに集中的にアクセスして閲覧しづらくするサイバー攻撃も相次いだ。警察庁は36団体の被害について、国際的ハッカー集団「アノニマス」による犯行声明とみられる書き込みをインターネット上で確認しているという。(伊藤和也)