東京都の今村登さん(52)は胸に「NO MORE 優生思想」、背中に「あの日 殺されたのは 俺たちだ」というメッセージを掲げた。「事件を風化させず活動していきたい」
相模原市の障害者施設で刺殺された入所者19人の月命日にあたる26日、障害者や支援者ら約300人が東京都の中心街でアピール行進を行った。掲げた紙には「すべての命はみんな平等」「障害者を殺すな」といったそれぞれの思いを記入。障害の有無で分け隔てられることのない社会の実現を訴えた。
東京都千代田区の日比谷公園から東京駅近くまで、「すべての命と尊厳を守ろう」などと声を合わせて1時間ほど行進した。実行委員会の構成団体の一つ、「DPI日本会議」の佐藤聡事務局長(49)は「事件の容疑者が語ったとされる『障害者はいなくなればいい』という価値観に、障害当事者がきちんと反対の意思を表明することが必要だ。障害がある人とない人がともに生きる社会をつくることが、差別や偏見をなくすことにつながる」と強調した。
参加した菊地敏明さん(69)は中学生の時にプールの飛び込みで頸髄(けいずい)を損傷し、手足などにまひが残る。「障害があるなしにかかわらず、誰でも自分らしい人生を生きる権利がある」と語った。
アピール行進に先立ち国会内で開いた追悼集会では、呼びかけ人らが「いらない命は一つもない。人格や個性が尊重される活動をしていく」「障害が重くても地域で暮らせる社会になってほしい」などと訴えた。白い布で覆われたテーブルの上には、19のロウソクと花が添えられた。