規制緩和で企業による農地の保有が9月から認められ、事務用品大手のナカバヤシが年内にも、兵庫県養父(やぶ)市の農地の購入を計画していることがわかった。企業の農地購入としては初めての案件になる。
購入するのは、ナカバヤシの子会社で製本や本の修理を手がける兵庫ナカバヤシ(養父市)。繁忙期の年度末や夏場以外に従業員が働く場として、昨年から養父市内でニンニク生産を始めた。農機大手のヤンマーの子会社などと共同で「やぶ医者にんにく」のブランド名で出荷している。地主に借りている農地約4・5ヘクタールのうち、今回は約1ヘクタールを買う。土壌改良や品種の多様化など、長期的な視点で農業に取り組むという。
これまで企業が農業に参入するには、地主から農地を借りるか、農地を所有できる農業生産法人に50%未満を上限に出資するしかなかった。9月に施行された改正国家戦略特区法で、全国でも養父市に限り、農地の所有や法人への50%以上の出資が認められた。
養父市によると、他にも複数の企業が農地購入に関心を示している。企業と地主で話がまとまれば、国や市が参加する国家戦略特別区域会議に諮られる。(中村光)