カバンストリートにあるカバンの自動販売機。その横の飲み物の自動販売機もカバン仕様だ=兵庫県豊岡市、滝沢美穂子撮影
■「まだまだ勝手に関西遺産」
変わった自動販売機を見ると、ついボタンを押したくなるのは、私だけではないはず。
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6月、出張で訪れた兵庫県豊岡市のJR豊岡駅のホームで見かけた自販機に釘付けになった。表には「カバンの自販機」という大きな文字。中にはジュースや缶コーヒーの代わりに、プラスチックケース入りのカバンが並んでいた。市が保護に取り組む、コウノトリをあしらったカバンもあった。1個1500円。買おうか、買うまいか、悩んでいるうちに乗り換えの時刻が迫り、後ろ髪を引かれながらその場をあとにした。
そして、9月末、満を持して、豊岡を再訪した。
市中心部にある「カバンストリート」と呼ばれる宵田(よいだ)商店街にも自販機が置かれている。
「あの自販機は、うちの広告塔なんですよ」。宵田商店街振興組合の副理事長で、設置当時理事長だった兼先(かねさき)正雄さん(53)が教えてくれた。豊岡は日本有数のカバンの産地だ。組合は2004年度から、カバンによる活性化策に乗り出し、自販機のアイデアもその一環だった。自販機はJR豊岡駅とカバンストリート、県立コウノトリの郷公園の計3カ所にある。
兼先さんによれば、06年3月、城崎温泉に向かう車が通る国道426号に置いたのが第1号だった。評判が良かったので、その後、コウノトリの郷公園と豊岡駅にも設置。1号機は14年3月にカバンストリートの今の場所に移した。
自販機で売るカバンは、商店街…