祝福の電話に笑顔でこたえる妻の大隅万里子さん=3日午後7時22分、神奈川県大磯町、遠藤雄二撮影
大隅良典さんの神奈川県大磯町の自宅では、家族や友人らからのお祝いの電話が途切れることなく鳴り続けた。対応に追われた妻、万里子さん(69)は取材に対し、「想像できないくらい驚いています。ノーベル賞は湯川(秀樹)博士をはじめ、雲の上の方ばかりだと思っていました。めったにないことなので、ありがたいです」と話した。
ノーベル医学生理学賞に大隅良典・東京工業大栄誉教授
へそ曲がりの精神…大隅さんはどんな人? ノーベル賞
特集:大隅良典・東京工業大栄誉教授
ノーベル賞
万里子さんが大隅さんに出会ったのは大学院の研究室。大隅さんは2歳年上の先輩だった。1971年に結婚し、息子2人はすでに独立した。
大隅さんは70歳を超えた今も東工大の研究室に遅くまで残り、深夜に疲れた様子で帰宅することも多い。万里子さんは「家でもいつも研究のことを考えている様子で、まさに研究者。生活は研究一色です」と話す。休みの日に、万里子さんが庭に植えた植物の手入れをするのが大隅さんにとっての息抜きという。
今年も数日前から新聞などでノーベル医学生理学賞候補に名前が挙がっていたことは知っていた。この日の朝も、2人で「もし取ったら大変だね。困るね」と言い合ったが、大隅さんは普段と変わらない様子で家を出て研究室に向かった。
万里子さんは「今は気持ちがふわふわして、あまり実感は湧きませんが、うれしいです。ご苦労様と声をかけたいです」と喜んだ。(坂本進、遠藤雄二)