女性に関するわいせつな発言について、ビデオ映像で謝罪するトランプ氏=ロイター
米大統領選の共和党候補トランプ氏(70)によるわいせつな会話が暴露された問題で、共和党内から不支持表明や選挙戦撤退を求める動きが顕在化した。投開票日まで残り1カ月の時期に、約30人の議員が「反トランプ」を宣言する異常事態に。民主党候補のクリントン氏(68)との第2回討論会を9日(日本時間10日)に控え、トランプ氏は正念場を迎えている。
米大統領選挙2016
この問題は、トランプ氏が11年前、テレビの収録番組に向かうバス内で、既婚女性に性的関係を迫った話を、「スターなら何でもできる」などと下品な表現で説明していた会話が、米紙報道で明るみに出たもの。
トランプ氏は8日に「自分の言動を後悔している」と謝罪したが、共和党からは批判の声が出ている。
これまで支持していた党重鎮のマケイン上院軍事委員長は声明で「性的暴行を自慢するような態度で、支持を続けるのは不可能だ」と表明。党幹部のスーン上院議員もツイッターで「トランプ氏は撤退すべきだ」と公然と批判した。
米ニューヨーク・タイムズによると、この会話が暴露される前、同党で計13人の上下両院議員が不支持だったが、暴露後、新たに約30議員が不支持に回った。大統領選と同時に実施される議員選への影響を避けたい思いが背景にあるが、これだけの「造反」が起きるのは極めて異例だ。
トランプ氏は進退について「絶対に撤退しない」と強調。また共和党内の造反の動きが有権者の支持・投票行動にどれだけ影響を与えるかは未知数だ。9日の討論会でトランプ氏が巻き返せるのか、混乱に拍車がかかるのか。選挙戦の大きな節目になりそうだ。(ワシントン=佐藤武嗣)