衆院予算委で、民進党の山尾志桜里氏の質問に答弁する安倍晋三首相=12日午後1時6分、岩下毅撮影
民進党の山尾志桜里氏は今年2月の衆院予算委で匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね」を紹介し、安倍晋三首相に待機児童問題の改善を迫るなど、両者は因縁浅からぬ関係だ。ヤジや笑い声が議場を包むなか、山尾氏は憲法の各条文を引き、首相に自民党改憲草案について説明するよう迫った。
改憲巡り民進・山尾氏が迫る 首相「答える義務はない」
山尾氏 今の総理のお話を聞くと、憲法改正というこの国、そして国民にとって最も大切なテーマの一つ、(憲法改正を)するか、しないかも含め、このことについて「答弁をするかどうかは自分の判断だ」と。そういうことですか? 自分次第ですか? この国権の最高機関たる立法府で、行政府の長であるあなたに、一国の総理であるあなたに、憲法改正について、どう考えているのかと、それを我々は聞かせてもらいたいと思っても、聞かせてもらえるかどうかは総理の気分次第だ、と。こういうことですか? 判断は自分にある、と。そういうことですか?
(「そうだ、そうだ」の声)
山尾氏 もう一つ申しあげますけれども、総理の論理はやっぱり破綻(はたん)しているといますよ。いよいよ憲法改正が近づいてきたか、きていないか、議論が盛り上がっているか、盛り上がっていないか、それによって答弁する、しないが変わってくるんですか? おかしいんじゃありませんか? パネルを出していただいて良いですか(と手元のパネルを取り出す)。まだ質問しておりません。論評しております。
(拍手と笑い声)
山尾氏 私は論理が破綻している理由は自分なりにこう考えています。やはり行政府の長たるあなたには、答弁するのが自由だとおっしゃいますが、答弁する義務は基本的にあると思います。この義務からむりくり逃げようとするから、場当たり的に言い訳をするから、おかしいことになっていると思います。
まず総理、99条で総理大臣は憲法尊重擁護義務を負っています。そして憲法は前文で、この憲法の普遍の原理に反する一切の憲法を許しておりません。法律だけではありません。今の憲法に反する一切の憲法を排除するとうたっています。そして、いま大きな与党である第1党の自民党から提案されている改憲草案は、普遍の原理に挑戦する大変疑義のある草案です。この改憲草案は現行憲法の普遍の原理に反していないかどうか、憲法尊重擁護義務のあるあなたは答弁の義務があると思いますけれども、いかがですか?
(拍手)
首相 ですから私が先ほど申し上げている通り、内閣総理大臣としての所管する事柄について述べる義務はございます。内閣総理大臣としての義務と自民党総裁は別でございまして、これはご了解頂けると思いますよ。ここは内閣総理大臣としての立場であって、そこで「じゃあ、あなたは自民党綱領についてもここで説明してください」と言われても、普通は説明できないわけでありますが……