焼け跡で立ち尽くす男性=10日午前10時43分、熊本県小国町宮原、板倉大地撮影
熊本県小国町宮原で10日早朝、店舗や住宅など約20棟が全半焼した火事で、県警や消防は11日午前から実況見分し、火元や出火原因を調べた。
密集地で火災、約20棟が全焼か 熊本・小国
小国署によると、現場は約4千平方メートルの広範囲にわたって焼けており、11日の実況見分は住民や目撃者の証言を聞きながら、被害の確認や火元の特定を主な目的に進めた。12日も行う。
町や住民らによると、現場一帯はかつて、映画館や飲食店、おもちゃ屋などが立ち並ぶ町一番の繁華街だったが、現在は空き家が増え、営業する店も少ない。木造の建物が多く火の回りは速かったが、古くからの住民らは声を掛け合い全員が無事に避難したという。
佐藤公行さん(68)は隣の住宅が燃えているのを2階の寝室から確認すると、警察に通報し、近所の家々のドアをたたいて「火事、火事」と連呼して5~6軒ほど起こして回った。薬局を営む上野玉兎子(つきこ)さん(83)方には、近所の人がガラス戸を蹴破って助けに来てくれたという。
町内には5~10世帯を1組とする組制度があり、普段から高齢者の見回りや声掛けをし、防災訓練では組単位で行動する訓練もしているという。火災でも三つの組が、互いに声を掛けて避難した。
桑名真也副町長は「町の中心部が大規模な火災にあったことは悲しいが、地域のつながりで人命が救われたことは不幸中の幸いだった」と話した。