大規模な洪水などの際に浸水する恐れがある地域内の、高齢者や障害者、乳幼児ら「要配慮者」が利用する施設のうち、避難計画をもつ施設は2%にとどまっていることが国土交通省の調査でわかった。岩手県の高齢者施設で9人が死亡した豪雨災害を受けて国交省は今月、避難計画作りを促す説明会を全国の要配慮者利用施設を対象に始める。
水防法は、最大規模の降雨による洪水や雨水を川に排出できなくなる内水氾濫(はんらん)などの際の「浸水想定区域」を指定するよう、国や都道府県に求めている。3年前の改正で、同区域にある特別養護老人ホームなど高齢者施設や障害者施設などの要配慮者利用施設に対し、避難計画を作る「努力義務」が課せられた。
だが、国交省が各都道府県を通じて調べると、3万1208施設(3月末現在)のうち、作成済みだったのは716だった。作成済みの割合が最も高かったのは山口県で20・4%(348施設のうち71)。愛媛県10・0%(642施設のうち64)、栃木県9・8%(296施設のうち29)、東京都9・2%(974施設のうち90)などと続いた。山口県では2009年に特別養護老人ホームで7人が死亡した災害を受け、対策を進めてきたという。
一方、山形、富山、三重、滋賀、兵庫、奈良、鳥取、島根、広島、徳島、福岡、長崎、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の16県は作成済みの施設がゼロだった。その一つ福岡県の担当者は「努力義務なので進まないという事情もあるようだ」と言う。
国交省は15年7月に計画作成…