派遣先でのパワハラを相談したら、対応せずに雇い止めにしたとして、リクルート傘下の人材派遣大手「リクルートスタッフィング」に登録していた元派遣社員の男性(34)が11日、同社などを相手取り損害賠償などを求める裁判を東京地裁に起こした。
同社には、男性の雇用主としての安全配慮義務がある。また、労働者派遣法31条は、派遣先で適正に働けるよう配慮する義務が派遣会社にあると定めている。こうした義務を同社が怠ったかどうかが争点になる。
訴状などによると、男性は2014年12月から東京都内の衣料品販売会社に2カ月契約で派遣された。派遣先では店舗での販売や接客を担当。1カ月後から「お前は覚えが悪い」「ばか」「いつまで働くんだっけ」などと上司に繰り返し怒鳴られたという。
男性はリクルートスタッフィングに相談。派遣先の上司を交えた面談を希望したが、実現しなかった。男性は15年3月に「抑うつ症状」と診断された。その後、同社は翌4月に男性に休職を命じ、契約を更新せずに翌5月末で雇い止めにした。男性は労災を申請し、15年11月30日に中央労働基準監督署(東京)が労災認定した。同社の広報は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(千葉卓朗)