昨年のヒマラヤキャンプでランダックを目指す隊員たち。険しく続く雪稜(せつりょう)はヒマラヤならではの地形=2015年11月8日、ネパール、花谷泰広さん提供
「登山界のアカデミー賞」と呼ばれるフランスの「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」の受賞者で、信州大山岳会OBの登山家、花谷(はなたに)泰広さん(40)=山梨県北杜市=が率いる「ヒマラヤキャンプ」と呼ぶ登山隊が19日、ネパール・ヒマラヤの未踏峰ロールワリンカン(6664メートル)に登頂した。花谷さんは遠征の目的を、「ヒマラヤ登山の実践を通じて、日本の登山文化を若者に伝えること」と話す。
ヒマラヤキャンプは、若い登山家たちにヒマラヤへの足がかりを作るため、花谷さんが主宰するプロジェクト。昨年、第1回の登山隊を組織してネパールの6千メートル峰2座に登頂した。
今秋挑んでいるロールワリンカンは、2014年に登山解禁となった未踏峰だ。花谷さんが隊長を務め、隊員は東京や大阪などから一般公募で集まった22~32歳の男女6人。9月25日にカトマンズ入りし、10月5日に約4700メートルのベースキャンプ(BC)を設営。11~14日、メンバー6人が高所に体を慣らす訓練と偵察を兼ねて5950メートルまで登った。17日にBCを出発。現地時間の19日午後1時過ぎ、6人全員が初登頂した。
花谷さんがプロジェクトを思い立ったのは、大学時代の体験が原点という。大学2年のとき、信大山岳会が派遣したネパールの未踏峰ラトナチュリ(7035メートル)隊に参加し、ヒマラヤデビューを初登頂で飾った。「当時、僕は冬山登山の経験が1年生の冬しかなかったが、遠征に参加させてもらえた。先輩らのおかげでヒマラヤ登山の楽しさを知った」。その後、多くの海外遠征を経て、世界的な登山家に成長した。
最近のヒマラヤ登山は、世界最高峰エベレスト(8848メートル)などガイド登山やツアー登山が盛んだ。多額の参加費を払い、ヒマラヤの高峰の既存ルートを登るスタイルが主流。背景には、大学や社会人山岳会などの弱体化がある。特に、大学山岳部は全般的に部員数減少が著しい。日本山岳会の学生部は昨秋、首都圏6大学の現役学生による合同隊をネパールの6千メートル峰に派遣するなど、若手育成に努めている。
その一方、信大山岳会の奮闘が…