キングの西郷(右)とジョーカーの大久保(左)。裏面は大島紬の柄になっている=2018年5月11日午後5時23分、鹿児島市、野崎智也撮影
キングは西郷隆盛、エースは島津斉彬(なりあきら)、クイーンに篤姫――。鹿児島県出身の幕末明治の偉人14人を描いたトランプを鹿児島市の職人らがつくった。NHK大河ドラマ「西郷どん」に登場する人物もおり、偉人とカードの組み合わせにこだわったという。
明治維新150周年に合わせて、画家や彫金師などの職人や自営業者らのグループが製作した。
カードには1枚ずつ、偉人の絵が錦絵風に描かれている。大阪商法会議所(現・大阪商工会議所)を創設した五代友厚や、日露戦争でバルチック艦隊を破った東郷平八郎などすべて県内出身の偉人だ。カードの裏は奄美大島の伝統織物・大島紬の模様であしらった。
製作者の一人、新町義臣さん(44)は「鹿児島出身の偉人を子どもたちにも楽しく学んでほしい。家族で歴史を語り合うきっかけになれば」という。
カードと偉人の組み合わせで、特にこだわったのが大久保利通だ。「大久保は維新を成し遂げた偉人として知られるが、鹿児島では少し複雑な思いがある。鹿児島ならではの思いを、県外の人にも知ってもらいたい」と新町さん。
大久保は西郷と幼なじみで、木戸孝允とともに「維新の三傑」として知られる。一方、西南戦争で西郷ら「薩軍」を「賊軍」とし、西郷を死に追いやった人物として語られることもある。鹿児島で大久保の不人気は根強く、鹿児島市内に1979年に建てられた大久保の銅像は、いたずら防止のために高い位置に建てられたといわれる。
大久保はジョーカーになった。新町さんは「影響力があって、ゲームによって良いカードにも悪いカードにもなる」と話す。
インターネットでの購入はホームページ(
https://www.junoji.jp/
)。(野崎智也)