非核化を巡り、刺激し合う米朝
北朝鮮の非核化をめぐり、米朝が激しく牽制(けんせい)しあっている。米側は核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを半年以内に国外搬出するよう求める一方で、「テロ支援国家」指定の解除も示唆。そんな矢先に、北朝鮮が米朝首脳会談の実現が危ぶまれると脅してみせるなど、交渉を優位に進めるためのせめぎ合いが続いている。
北朝鮮、米朝首脳会談への影響示唆 南北高官協議の中止
「(米政権が)我々を隅に追い込んで一方的な核放棄だけを強要しようとするなら、朝米首脳会談に応じるか再考するしかない」。金桂寛(キムゲグァン)・第1外務次官は16日、朝鮮中央通信を通じて米国を強く批判した。6月12日の首脳会談に向けて回り始めていた歯車に突然、北朝鮮がブレーキをかけたような格好だ。
16日未明には、この日行う予定だった南北高官協議を無期延期とすると韓国側に通知。米韓軍の戦闘機100機以上が韓国周辺で行っている定例の合同空軍演習「マックスサンダー」を中止の理由に挙げた。
これらは、相手から有利な条件を交渉で引きだそうとする北朝鮮の常套(じょうとう)手段との見方が強い。千載一遇でめぐってきた朝鮮戦争の「敵」である米国との対話のチャンスを蹴るまでの意図はないとみられる。
トランプ政権は、ポンペオ米国務長官が9日に訪朝して金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した際、核弾頭やICBMなどを半年以内に国外搬出すれば、「テロ支援国家」指定を解除する可能性も伝えたとされる。
また複数の米政府関係者によると、米政権は6月12日の米朝首脳会談で、北朝鮮が「完全」かつ「検証可能」で「不可逆的」な非核化に応じれば、見返りとして、北朝鮮の金正恩政権の体制を保証する方針を両首脳の合意文書に盛り込むことも調整している。
米国と北朝鮮の国交正常化に向…