鳥取県で震度6弱を観測した地震は、企業の活動にも影響を与えた。揺れが激しかったところでは、工場の生産を止めたところもある。大手メーカーや小売業者などは従業員の安否確認や、設備や店舗の点検に追われた。停電で一部の金融機関で現金自動出入機(ATM)が使えなくなった。
中小型液晶パネルをつくるジャパンディスプレイの鳥取工場(鳥取市)は、地震発生直後に稼働を止めた。主に車用の液晶パネルをつくっていて、約700人が働く。設備に異常がなければ、再稼働する。生産途中のパネルは、一部を廃棄しなければならない恐れがあるという。
液晶パネルをつくるシャープの子会社「シャープ米子」の工場(鳥取県米子市、約270人)も安全確認のために一時、生産を止めた。復旧に向けて準備を進めている。
オムロンは電子部品の製造を手がける子会社「オムロンスイッチアンドデバイス」の生産拠点が、震源に近い鳥取県倉吉市にある。自動車や産業機器向けのスイッチなどをつくっている。約500人の従業員の安全は確認した。操業を止めて、建物や設備の被害を調べている。オムロンは京都市の本社に緊急対策本部をつくり、情報収集を急いでいる。
サントリー食品インターナショナルは、ミネラルウォーターの「奥大山の天然水」を生産する奥大山ブナの森工場(鳥取県江府町)が止まった。設備に大きな被害はないが22~24日の3日間は操業を停止し、約90人の従業員は23日まで自宅待機とする。再開は25日の見通しだ。
サントリーは4月の熊本地震で九州熊本工場(熊本県嘉島町)が被災し、「阿蘇の天然水」の出荷はいまも止まったままだ。在庫があるため「ミネラルウォーターの出荷への影響は限定的だ」とみている。
余震が続き交通機関も乱れたことで、生産を早めに終えた工場もある。文房具大手コクヨの鳥取市にあるグループ工場は、午後4時ごろまでに約240人の従業員全員に帰宅を指示した。スポーツ用品大手アシックスの靴を製造する鳥取県境港市の工場でも、終業時間を切り上げて従業員275人を帰宅させた。どちらの工場も週明けの操業は、余震などの状況をみて決める。
金融機関では鳥取銀行や山陰合同銀行の倉吉市内の店舗で一時、ATMが使えなくなった。
小売り関連では、JR鳥取駅前にある百貨店の鳥取大丸やイオン系列のスーパーで、エレベーターやエスカレーターが停止した。
大阪府の一部でも震度4を観測するなど、西日本の広い地域で揺れを感じた。関西電力によると発電所や配電設備を調べたところ、いまのところ問題はないという。