シリアのアサド政権軍が反体制派を攻撃している北部アレッポで民間人約27万人が取り残されている人道危機を巡り、国連人権理事会の特別会合が21日、スイス・ジュネーブで開かれ、同政権と政権を支援するロシアを非難する決議案を賛成多数で採択した。
決議案は、欧米諸国が主導。たる爆弾や空爆などを含む兵器の無差別使用や、食料や水、医薬品などの供給が断たれている状況を強く非難。アサド政権と「同盟者たち(ロシア)」に、空爆をただちにやめるよう求めた。
さらに、国連のシリア独立調査委員会に国際刑事裁判所(ICC)での訴追も視野に、国際人道法違反の疑いで調査して、来年前半の人権理に報告するよう求めている。
ザイド国連人権高等弁務官は会合冒頭の演説で、無差別空爆などについて、戦争犯罪や人道に対する罪に当たる可能性を示唆した。
これに対し、シリアは、英国などに対して「戦争犯罪についての根拠ない罪状を捏造(ねつぞう)し、反シリアのプロパガンダを広めている」と反発。ロシアは決議案でアサド政権などを名指しした記述の削除を求めたが、反対多数で否決された。(ニューヨーク=松尾一郎)