21日午後に最大震度6弱の地震が起きた今回の地震では、高層ビルなどをゆっくりと長時間揺らす長周期地震動が広い範囲で発生した。高い建物ほど長周期の揺れと共振しやすく、高層階ほど大きく揺れる傾向がある。
鳥取、なぜ大地震多い 気象庁「活断層なくても起きる」
鳥取地震「1週間程度、震度6弱のおそれ」 気象庁
大阪市では地震直後、高さ300メートルあるあべのハルカス、大阪府咲洲庁舎、梅田スカイビルなどの高層ビルで相次いでエレベーターが停止した。安全装置が働き、近くの階で停止するなどしたため、閉じ込められた人はいなかったという。
長周期地震動の大きさは階級1(室内にいたほとんどの人が揺れを感じる)~階級4(はわないと動くことができない)の4段階ある。気象庁によると、兵庫県北部、鳥取県西部のほか、震源から150キロ近く離れた大阪府南部と徳島県北部で階級2を観測。長野県中部、愛知県西部、高知県東部など8地域で階級1を観測した。
福和伸夫・名古屋大学減災連携研究センター長(地震工学)によると、軟らかい堆積(たいせき)層に厚く覆われている平野や盆地では揺れが増幅され、長周期地震動が起きやすい。大阪や徳島もこうした地盤で、2000年の鳥取県西部地震(M7・3)でも長周期地震動を観測していた。
この揺れが注目されるようになったのは03年の十勝沖地震以降。この時は震源から約250キロ離れた石油タンクが大きく揺れ、火災が起きた。近年はビルの高層化が進んで影響を受けやすくなっている。福和さんは「長周期地震動は、震源から離れていても揺れが続く。この地震を契機に、高層ビルの免震対策をさらに進める必要がある」と話す。