政府の生命倫理専門調査会は21日、ゲノム編集技術を使ったヒト受精卵の基礎研究について、国による指針作成を見送る方針を決めた。研究をめぐる状況が刻々変化していることなどから、指針内容を短期間に固めるのが難しいと判断した。当面は学会主導でマニュアルを作り、合同の倫理審査体制を整備して対応する。
この日は、日本遺伝子細胞治療学会、日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、日本人類遺伝学会など複数の学会で「合同ゲノム編集研究委員会」(仮称)を作り、大学や研究機関から報告された研究について審査する方針を確認した。内閣府がオブザーバーとして参加し、同調査会の方向性との整合性を担保するという。国による指針整備を求めてきた学会側も、具体的な判断基準がないまま時間が過ぎることへの懸念などに配慮し、大筋で了承した。
同調査会の原山優子会長(元東北大教授)は終了後、「指針は一度決めたら修正が難しく、今回は作成を見送った。ただ、より拘束力が強い規制を求める声があるのも確かで、必要という状況になれば、改めて検討したい」と話した。
同調査会は今年4月、ゲノム編…