二回裏広島1死一、三塁、三塁走者鈴木は石原のとき重盗に成功、先制点を挙げる。投手大谷(左端)、捕手大野=加藤諒撮影
(22日、日本シリーズ第1戦 広島5―1日本ハム)
日本シリーズ第1戦の詳細こちら
動いて動いて、広島は試合を動かした。
マウンドで立ちはだかったのは、プロ野球最速となる165キロを投げる大谷。緒方監督は「球界の宝。チャンスは1回か2回あるかどうか。思い切って攻めていこう」と考えた。
積極的な采配を振るったのは二回だ。先頭の鈴木が四球を選ぶ。1死後、安部の右前安打で一、三塁とした。打者は8番の石原。初球と4球目の2度、スクイズを試みた。鋭く曲がるスライダーを前に転がせなかった。結局、石原は空振り三振を喫した。
チャンスはついえたかに見えた。だが、安部が二盗を仕掛けていた。三塁走者の鈴木は、日本ハムの捕手・大野が二塁へ送球する動きをじっと見ていた。そして、遊撃手の位置取りを確かめると、勇気を振り絞って、スタートを切った。重盗が成功すると、手をたたいて喜んだ。「短期決戦では先制点が大事になる。良かった」
足を使うことは今季のテーマだった。盗塁数はリーグ1位の118個を誇ったが、CSの4試合ではゼロ。反省から、河田外野守備走塁コーチは「いけ。いけ」と鈴木の背中に声をかけ続けていた。試合前には「ひとつ先を狙ってアウトならしょうがない、というくらいの割り切りも必要」とチームに訴えていた。
したたかに、大谷を攻略。殊勲の鈴木は「相手のエースから初戦をとったことが大きい」。この1勝は、ただの1勝ではない。(吉田純哉)