横浜にぎわい座で、新作の落語を生き生きと演じる春風亭ぴっかり☆さん=横浜市中区、池永牧子撮影
最近、東京都内の寄席などで、若手の女性落語家の活躍が目立っている。2000年代初めの落語ブームで増えた女性ファンが、自ら落語家となり、アイドル系の路線でアピールしたり、会社員時代の経験を生かした新作で観客を沸かせたり。いまなお男性主流の落語界で、独自の花を咲かせ始めている。
小顔にくるくる愛らしいパーマ頭の女性が、高座にちょこんと正座する。横浜市の横浜にぎわい座で開かれた、「落語界のプリンセス」春風亭ぴっかり☆さん(35)の独演会。まだ、真打ち一歩手前の「二つ目」だが、130席が当日券まで完売。男性ファンから「完売おめでとう!」の声がかかった。
舞台女優を目指していたぴっかり☆さんは、劇団の養成所で古典芸能を学ぶ一環で落語に出会った。「ざぶとん一つのシンプルな芸なのに、すごい幅がある」。すぐに魅力に取りつかれ、06年に春風亭小朝さんに入門。「女ならではの華やかさを大切にしたいんです」とぴっかり☆さん。
落語の導入部分「マクラ」も、男性落語家とは一風異なる。24歳で受けたアイドルグループ「AKB48」のオーディションでのエピソードを披露。「17歳」とさばを読んで最終選考に残ったが、プロデューサーの秋元康さんに「実物は24歳ぐらいだね」と見抜かれ、落とされたというオチで客席をわかせた。アラサーのぼやきを漫談風に仕立てた新作落語も人気だ。