AEDの使用で社会復帰が「上積み」されたと推定される患者の推移
自動体外式除細動器(AED)を使うと、心停止した人が回復して社会に復帰できる割合は、使わなかった場合と比べ、約2倍高いことが京都大などの研究で分かった。米医学誌に27日発表した。
国内でAEDは2004年から医療機関以外でも使えるようになった。これまでに約50万台が公共施設などに設置されてきたが、普及の効果は不明だった。
京都大の石見拓教授(救急医療)らは、05~13年の9年間に心臓が原因で心停止し、市民や救急隊による心肺蘇生を受けた約4万4千人の記録を解析。1カ月後の状態を元に、社会復帰するまで回復した患者の割合を調べた。
AEDが使われた人のうち、社会復帰できた割合は38・5%だった一方、使わなかった人は18・2%にとどまり、2倍近い差があった。この差から推計すると、AEDが普及した9年間で835人の社会復帰を「上積み」できたという。
ただ、医療機関以外でAEDが使われる割合は16・5%(13年)にとどまっている。石見さんは「AEDの普及が社会活動をしている人を救命できることを示せた。活用を促す教育などでさらに救える」と話している。(西川迅)