グーグルの検索結果で過去の逮捕歴が分かるとして、会社経営の男性が検索結果の削除を求めた訴訟で、東京地裁(岡崎克彦裁判長)は28日、「検索結果の表示には公共性がある」と判断し、男性の訴えを退けた。
判決によると、男性は10年以上前に振り込め詐欺の容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
この日の判決は、男性が引き出し役のリーダー格であったことなどから、「執行猶予期間後5年程度しかたっておらず、公共の関心も薄れたとはいえない」と指摘。男性が会社社長という「社会に一定の影響を与える地位」にあり、「取引先などが信用調査の一環として犯罪事実を知ることは正当な関心事だ」として、現段階では男性は情報を公表されることを受け入れるべきだ、と判断した。
一方で判決は、執行猶予期間の終了から5年以上経過し、新しい社会生活を送っていることから、男性に「更生を妨げられない利益がある」とも述べた。男性の代理人弁護士は「検索結果の表示自体が、更生を妨げられない利益を害すると認めたことは評価できるものの、結論は不当で控訴したい」と話した。グーグルは「人々の知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断であると考えています」とコメントした。(塩入彩)