経済危機が深刻化しているエジプトの中央銀行は3日、エジプトポンドの固定相場制を廃して変動相場制に移行すると発表した。同国は8月、国際通貨基金(IMF)から3年間で120億ドル(約1兆2100億円)の融資を受けることでIMFと基本合意したが、履行の条件としてエジプトポンドの切り下げを求められていた。
中銀の発表によると、外為市場が取引を開始するまでは、暫定的に交換レートを約48%切り下げた1ドル=13エジプトポンド前後で交換するように市中銀行に指示した。
エジプトは2011年の「アラブの春」以降、政変やテロの影響で主要産業の観光業が大打撃を受け外国投資も低調。外貨準備は11年以前は約350億ドルあったが、今年9月には196億ドルにまで減っていた。
最近のエジプトポンドの交換レートは、闇市場で半値前後に下落。インフレも深刻化している。IMFのラガルド専務理事はエジプト政府に早急にポンドを切り下げるよう求めていた。IMFの融資は理事会で正式に決定されるが、変動為替制への移行のほか、燃料補助金の削減なども求めている。(アルビル=翁長忠雄)