直径3・5メートルある戦艦山城のプロペラ部分=ポール・アレン氏提供
米マイクロソフトの共同創業者のポール・アレン氏が率いる沈没船調査団は7日、フィリピン南部スリガオで記者会見し、太平洋戦争中に撃沈された戦艦山城(やましろ)、扶桑(ふそう)など、旧日本軍の艦船とみられる5隻をスリガオ沖の海底で発見したと発表した。
見つかったのは戦艦山城、扶桑のほか、駆逐艦の満潮(みちしお)、朝雲(あさぐも)、山雲(やまぐも)。調査は11月22日~29日に行った。いずれも水深100~200メートルの海底にあり、山城と扶桑は上下逆さまの状態だった。比較的浅い場所で海水が温かく、船体にはびっしりとサンゴなどが群生していたという。船体はひどく壊れた状態で、激しい戦闘の跡が見られる。
扶桑からは銃や手投げ弾などの武器が、山雲からは梅のような花柄の付いたおちょこが見つかった。
資産家のアレン氏が率いる同調査団は、2015年にフィリピン中部シブヤン海の海底で戦艦武蔵を発見し、注目を集めた。今回の発見については今後、フェイスブックで海中で無人探査機が撮影した写真や動画も公開する。
山城と扶桑は同型の戦艦で全長約200メートル。1944年10月に、レイテ沖海戦の戦闘の一つであるスリガオ海峡戦で、夜間に米艦隊の攻撃を受けて沈没した。防衛研究所・史料閲覧室によると、スリガオ海峡戦では乗員4千人あまりが犠牲になり、日本海軍が壊滅的な打撃を受けた。
8日は日米開戦の発端となった米ハワイの真珠湾攻撃から76年となる。(ハノイ=鈴木暁子)