沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場
同盟国に「応分の負担」を求めてきた共和党のドナルド・トランプ氏(70)が、米国の次期大統領に決まった。大統領就任後に打ち出される政策の内容によっては、日米同盟の根幹を揺るがしかねない。「トランプ・ショック」は、日本の外交・安全保障政策にも波紋を及ぼしそうだ。
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トランプ氏の米大統領就任で、日米関係に最も影響を与えそうなのが在日米軍の駐留経費問題だ。
日米両政府は昨年12月、2016~20年度の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の特別協定で合意。5年間の総額は9465億円で、11~15年度の総額を133億円上回る。米国防総省の04年の報告によると02年の日本の米軍駐留経費の負担率は74・5%で、ドイツの32・6%、韓国の40%と比べてもかなり高い。
ところが、トランプ氏は選挙戦で、米軍駐留経費を日本政府が100%負担しない場合の米軍撤退も示唆した。慌てた日本政府は、在米大使館を中心にトランプ陣営と接触し、説明を重ねてきた。
「とにかく説明を尽くすしかない」と外務省幹部。米軍駐留経費の全額負担について、防衛相経験者は「無理だ。それなら米軍基地を置けるかどうかもわからなくなる」とした上で、米軍撤退をこう語る。「考えられない選択肢だが、シミュレーションはしておかないといけない」