太平山での朝ごはん。「霧が立ちこめて神秘的」と声が上がった=10月26日、島根県大田市三瓶町
近くの山頂などから日の出や雲海を眺め、みんなで朝食を味わう――。島根県内で、パン屋とカフェが始めた催し「天空の朝ごはん」が人気だ。気持ちよく朝食が取れるだけでなく、「街の魅力を再発見できるのがいい」という。
「山の日」特集
10月26日午前6時過ぎ、大田(おおだ)市の太平山山頂(854メートル)で男女38人が朝食のテーブルを囲んだ。ヒマワリの種が入ったドイツパン、地元の牛乳を練り込んだ食パン、地元産カボチャが入ったスープに、イタリア仕込みのホットコーヒーが並ぶ。
太平山は出雲国風土記の「国引き神話」に登場する三瓶山(さんべさん)の高峰。この日は霧で日の出を一瞬しか見られなかったが、おぼろげに姿を見せる雲海を楽しんだ。新鮮な山の空気を味わおうと、何度も深呼吸をする人も。広島県尾道市から参加した森山英利子さん(56)は「非日常的で忘れられない朝食。早起きも苦になりません」と笑顔をみせた。
始めたのは、大田市のドイツパンの店「ベッカライ・コンディトライ ヒダカ」店主の日高晃作さん(35)。今春、知り合いの兵庫県丹波市のカフェ店主北信也さん(31)が開いた山上での朝食会をフェイスブックで見た。
「自分でもやってみよう」。そう思って目を付けたのが、大田市の石見銀山(世界遺産)を守るために戦国時代に築かれたとされる山吹城跡(標高414メートル)。古民家の街並みが望めて日の出もきれいに見える。市内の「カフェ・カリアーリ石見銀山本店」店長の有藤朗(ありとうあきら)さん(42)に声をかけ、ドイツパンにコーヒーという朝食の「強力タッグ」が組まれた。
今年6月、試しに午前4時前か…