地元財界人との懇談後に記者会見した日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁=14日午後、名古屋市
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は14日、名古屋市で講演後に記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)の実現が困難となっていることの日本への影響について、「潜在的に得べかりし大きなプラスが失われる可能性がある」と述べた。
米大統領選でTPPに反対の共和党トランプ氏が勝利し、オバマ現政権は議会承認を事実上断念した。黒田総裁は「(TPPは)日本経済にとって当然プラス。非常に大きなプラスだったものができるかわからなくなったことでマイナスと言える」と述べた。
トランプ氏が掲げるインフラ投資や減税については「米国経済を拡大、成長させる意味では日本にもプラス」とし、トランプ氏に対しては「適切な経済政策運営で世界経済と米国経済に好ましい影響をもたらすと期待したい」と述べた。
会見前の講演では、米大統領選後に円相場が不安定な値動きとなったことについて、「過度の変動や無秩序な動きは好ましくない。日本経済にどういう影響を与えるか重大な関心を持っているので、しっかり注視していく」と語った。(藤田知也)