経団連は16日、2017年春闘で賃金を引き上げるよう、会員企業に呼びかける方針を明らかにした。同日夕に首相官邸で開かれる「働き方改革実現会議」で、安倍晋三首相からの賃上げ要請を受け、4年連続でベースアップを容認する方針だ。また、働く女性を後押しするため、配偶者手当の廃止や削減も求める。
いずれも、17年春闘で経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告」に盛り込まれる見通しだ。政府の要請を受けて、経団連が会員企業に賃上げを求めることで、政府主導の「官製春闘」は4年目に入る。
これまでの官製春闘は、好調な企業業績を背景に、3年連続で賃上げを実現した。16年春闘で経団連は収益が拡大した企業に対し賃上げを求めたが、企業業績は今年度に入り、円高傾向や世界経済の先行き不透明感からバラつきが目立つ。
今年度の収益だけでは17年春闘で賃上げに応じる企業が減る可能性があり、経団連は複数年度の収益を考慮し、企業に賃上げを求める案などを検討している。
一方、配偶者手当は年収が103万円を超えると支給されない企業が多く、所得税の配偶者控除と同様に、女性が就労を控える「103万円の壁」につながっていると指摘される。
政府税制調査会が14日に出した所得税改革についての中間報告で、企業の労使に配偶者手当の見直しを強く求めたことから、経団連は17年春闘で会員企業に呼びかける方針だ。配偶者手当の廃止・削減で浮いた原資を子ども手当などに振り向け、子育て世代への支援にあてるように呼びかけることを検討している。(編集委員・堀篭俊材)