バナナの売り場
将来、食卓からバナナが消えるかも――。そんなニュースが相次いで流れた。「新パナマ病」というバナナの病気が原因らしい。何が起きているのか。
「新型の菌がバナナ農園に壊滅的な打撃を与えた」
米誌ニューズウィーク電子版は9月下旬、新パナマ病によるバナナの農業被害を伝えた。
「世界的なバナナの危機」(米CNN)といった報道は春以降、海外で相次ぎ、国内でも報じられた。輸入商社には消費者からの問い合わせも続いたという。
国連食糧農業機関(FAO)などによると、新パナマ病は1990年に台湾で初めて見つかった。土壌の菌の一種が根から入り込み、バナナを枯死させる。伐採で感染拡大を止めるしかなく、数十年間は汚染が続くとされる。
バナナは生食用と料理用で300種以上ある。日本を含む世界で最も食べられているのは生食用のキャベンディッシュ。輸出市場の95%を占めるが、新パナマ病に弱い。FAOは2014年、「最も破壊的なバナナの病気」として予防に力を入れるよう産地に警告した。だが、フィリピン、アフリカ、中東など感染地域は拡大し、東京ドーム約2千個分の1万ヘクタールの農園が感染したとの指摘もある。