誕生日を迎えた皇太子妃雅子さま=東宮御所、宮内庁提供
皇太子妃雅子さまが9日に53歳の誕生日を迎えるにあたり、宮内庁を通じて文書で「ご感想」を公表した。全文は次の通り。
雅子さま53歳に 陛下のお気持ち「重く受けとめる」
雅子さま53歳、東宮職医師団の見解全文
皇室とっておき
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この1年も、国の内外で様々なことがありました。4月の熊本地震や夏の台風第10号による洪水、海外でも多くの自然災害が発生するなど、今年も心の痛む災害の多い年でした。不幸にして亡くなられた方々とそのご遺族に心からの哀悼の意を表します。また、被災された方々のご苦労もいかばかりかとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く安心できる生活に戻ることができますよう、心からお祈りしております。熊本県での震度7の地震の発生は、思いもよらないことで、被害の大きさに心が痛みました。また、大きな余震も随分と長い期間続きましたので、多くの方が大変な思いをされたのではないかと思っております。
東日本大震災も、これまで常に私の心に懸かってきていることです。6月に、復興状況視察のため皇太子殿下とご一緒に岩手県を訪れました折には、災害公営住宅や団地の造成が進むなど、復興が着実に進んでいることを実感致しました。一方で、今なお仮設住宅にお住まいの方々などから、ご苦労が続いていることのお話を伺い、心が痛みました。さらに、そのような中、台風第10号が岩手県岩泉町や北海道に大きな被害をもたらしたと知り、被災された方々の受けた衝撃の大きさを思いました。また、近年、規模の大きい災害が多くなっているように感じられ、災害への日頃からの備えの大切さを改めて感じます。被災された方々が一日も早く安心して暮らせるよう願うとともに、今後とも、皇太子殿下とご一緒に、被災地の復興に永く心を寄せていきたいと思います。
今年の明るい話題としては、夏のリオ・オリンピック、パラリンピックで日本選手団がすばらしい活躍をしたこと、また、大隅良典博士がオートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞されたことなどがあげられます。そして、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞に、1965年に発足した青年海外協力隊が選ばれたことは、日本の若者たちによる国際貢献が世界から高く評価されていることの証しであり、これらのことをとてもうれしく思います。
ただ、国内では、障害を持った方々や、子供、お年寄りといった社会的に弱い立場にある人々が犠牲になることが目につくようになっており、気にかかっております。世界に目を向けても、貧困や、難民の増大、テロによる多くの犠牲者の発生など、課題は山積しています。人々が、広い心を持ってお互いの違いを乗り越え、共に手を携えて英知を結集し、様々な問題の解決に向け一致して取り組むことが、今の世の中で大切になっていると感じます。
天皇、皇后両陛下には、1月の…
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