総務省行政評価局は9日、自治体の子育て支援行政を調査した結果、認可保育施設に入れない待機児童の数え方が市町村によって違うために、実態が正確に公表されていないなどとして、厚生労働省に改善するよう勧告した。
行政評価局によると、厚労省は、保護者が育児休業中の場合、待機児童の数に含めるかどうかを、市町村の裁量に任せている。
同局が昨年8月以降に調べた19都道府県の66市町村のうち、育児休業中の保護者の子について、待機児童数に含めているのは10市町村(15・2%)、3歳以上など一定の条件に該当した子だけを含めているのは6市町村(9・1%)だった。残り50市町村(75・8%)は含めていなかった。
厚労省が公表している全国の自治体ごとの待機児童数(4月1日現在で計2万3553人)からは数え方の違いがわからず、保護者の居住地・保育施設選びに影響する恐れがあるとして、厚労省に待機児童の数え方の明確化などを勧告した。
また、児童数の変動の予測を誤り、待機児童を思うように減らせなかった市町村も複数あった。ある自治体では、大型マンション建設で児童数が200人以上増えることが見込まれたのに、福祉担当部署が住宅開発担当部署からその情報を得るのが遅れ、保育施設の定員を増やせず、待機児童を減らせない一因となったと指摘した。
行政評価局は、都市開発の情報を各部署で共有するなどして、保育施設の需要予測を正確にすることを市町村に要請するよう、市町村の子育て支援を所管する内閣府に勧告した。(四倉幹木)