4日未明に松阪市の貸しビデオ店駐車場で焼かれた乗用車=松阪署
三重県津市と松阪市で、車上荒らしが多発し、ほぼ同時に盗難車が焼ける不審火が相次いでいる。県警は、犯人がグループで車上荒らしを繰り返した後、証拠を隠すため移動に使った盗難車に放火しているとみている。県警によると、9月中旬以降、少なくとも52台から現金計5万円が盗まれ、8台が焼けた。発生は週末や祝日。窓ガラスが割られて車から金品が取られ、近辺で車の火災が起きるパターンが繰り返されている。
4日午前5時45分ごろ、松阪市久保町にある貸しビデオ店の駐車場で乗用車1台が全焼した。県警によると、店の入り口のガラスが割られ、レジ周辺が荒らされていた。だが、店側がレジに金を残していなかったため、金銭が盗まれる被害はなかった。県警は、犯人グループが車をバックさせて入り口を壊した後、火を放ったとみている。
約35分後の午前6時20分ごろには、約10キロ離れた同市星合町の河川敷で乗用車の助手席が焼けた。焼けた車はいずれも、3日夜に同市と津市で盗まれたものだった。
車が盗まれ、燃やされる被害は9~11月にも、各月2件ずつ発生している。
9月16日には、津市内で盗難車が全焼する被害が2件立て続けに起きた。同じ日の夜に津市南部と松阪市北部で37件の車上荒らしがあり、計約1万7千円の現金が盗まれた。民家の駐車場や路上に止まっていた車が狙われており、いずれも窓ガラスが割られていた。
10月10日も津市内の2カ所で1台ずつが焼け、同様の手口の車上荒らしが4件(現金被害額約1万6千円)発生。さらに11月5日と同月20日には松阪市内で1台ずつが焼け、20日は松阪市内で11件(同約1万9千円)の車上荒らしがあった。
■焼ける車種に偏り
捜査関係者によると、焼け跡から発炎筒が見つかった車両があるという。犯人らが火をつけた発炎筒をシートの上に置き、車を燃やそうとしたとみており、県警は他の車両火災でも、発炎筒が火元になっている可能性があると推測する。
また、焼けたのは「スバル・レガシィ」など特定の車種がほとんどで、いずれも10年以上前のモデルだった。一方、車上荒らしに遭った車は車種も年式も様々という。県警幹部は「逃げる時のことを考え、防犯装置が最新ではなく、自分たちが乗り慣れた車を移動用に選んだのでは」と話している。(国方萌乃、田中翔人)