袴田茂樹・新潟県立大教授=早坂元興撮影
■新潟県立大教授・袴田茂樹氏
4島返還か2島か 妥結の道は
――安倍政権の日ロ交渉をどう見ていますか。
「日本側は、ロシアが求める経済協力を熱心に行えば平和条約締結に向けて本気で対応してくれるという期待値が、一方的に高まっていた。だがプーチン大統領の態度は一貫して厳しい。私が知る限り、ロシア側に領土問題で譲歩しようという雰囲気は皆無といっていい」
――プーチン氏が妥協する余地はないのですか。
「プーチン氏には、本気で領土問題を解決する意思も力もないのではないか。領土問題は両外務省が数十年間、法的、歴史的に議論を尽くしてきた。残されているのはプーチン氏の政治的決断のみだ。だが、彼は『より高いレベルの信頼関係が必要だ』と言い、対話と日本の経済協力をしきりに強調している」
「プーチン氏の現在の高支持率はクリミアを併合したことが理由だ。失った領土を取り戻した偉大な大統領として、大国主義的な国民のナショナリズムを満足させた。『第2次大戦後、国際法的にロシア領になった』と主張する北方四島で譲歩はできないだろう」