虐待を受けた子どもが適切に一時保護されるように、厚生労働省は裁判所を関与させる新しいルールの概要を固めた。保護者の同意がないまま2カ月を超えて保護しているケースを対象に、家庭裁判所が保護を継続するか審査する方向で調整。早ければ来年の通常国会に児童福祉法の改正案などを提出する。
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一時保護は、虐待を受けた子どもの安全確保などの目的で親子を引き離す仕組み。児童福祉法で児童相談所の所長が判断し、原則2カ月までと定めている。
児相には子どもが再び家庭で暮らせるよう指導する役割もある。保護者との関係悪化を懸念して保護をためらうことを避けるため、厚労省の有識者検討会が裁判所に関与させる新ルールづくりを検討してきた。ただ、すべての判断に裁判所が関与すれば迅速に保護できなくなる恐れもあることから、まずは対象を絞って児相や家裁にかかる負担などを見極めることにした。
厚労省の調査では推計で年間約3600件が2カ月を超え、うち約470件で保護者の同意がない。このケースを新ルールの対象とする方向で、家裁が認めなければ、子どもは親元に帰すか児童養護施設や里親に委託をすることになる。(伊藤舞虹)