シリア内戦の最激戦地アレッポで15日、アサド政権側が包囲する反体制派の支配地から、住民や戦闘員を撤退させる作業が始まった。住民の移送を支援する人道支援団体「シリア・アラブ赤新月社」が発表した。AFP通信によるとアサド大統領は同日、「(アレッポの)解放は祝福という言葉以上の価値がある」との声明を発表し、事実上の制圧宣言をした。
激戦地アレッポから反体制派撤退へ シリア、政権と合意
アサド政権軍と反体制派の関係者によると、まず負傷者、子ども、老人、女性をアレッポ東部の戦闘地域からバスで脱出させた後、反体制派戦闘員を移動させる。行き先は、アレッポに近い反体制派支配地域としている。
朝日新聞のインターネット電話取材に応じた反体制派関係者によると、内戦勃発以来、反体制派が拠点にしてきたアレッポ東部から、住民と戦闘員が撤退することで政権軍と13日に合意。14日朝に開始予定だったが、15日にずれ込んだ。
合意の成立後、政権側に立つイランの部隊が、シリア北西部で反体制派に包囲されたイスラム教シーア派の二つの村から住民を脱出させることを新たに条件として求めたためで、反体制派はイラン側の要求に応じると約束し、撤退が始まったという。(イスタンブール=春日芳晃)