大前光市
今夏のパラリンピックの閉会式で、リオデジャネイロ(ブラジル)のマラカナン競技場を埋めた観衆を釘付けにした。8万人のまなざしが注がれる中、LED電球をはめ込んだ特注の義足をつけたダンサー大前光市(37)は、鍛え上げた体をしならせ、ソロで踊った。その1分44秒が人生を変えた。
東京大会へ引き継ぐセレモニーに登場した。出番は午後9時過ぎ。闇夜にライトアップされた競技場が浮かび上がり、「会場が一つのプラネタリウムのようだった」。1964年の東京大会の映像が流れ、車いすのダンサーらと2020年の東京五輪をPRした。
帰国後、仕事が激増した。講演も次々舞い込み、一躍、時の人に。「僕がたくさん踊り、多くの人の目に触れることで、心のバリアフリーにつなげたい」
クラシックバレエを学んでいた…