黄宣真記者
「能力がなければ親を恨め。金も実力だ」
朴槿恵(パククネ)大統領の長年の支援者、チェ・スンシル被告の娘の言葉だ。2014年12月にSNSに投稿した言葉だが、チェ被告が関わる一連の疑惑の報道が過熱し、にわかに注目された。
ソウル教育庁は16年11月中旬、チェ被告の娘の大学入学で不正があったと発表。チェ被告の国政介入が教育分野にまで広がっていたことに、韓国の多くの人々が怒った。
「私は大学も全部決まっているから関係ない。勉強する必要もない」。教育当局の調べが進み、チェ被告の娘が同級生に語ったという言葉がとりざたされた。
高校時代のこんなエピソードも明らかになった。チェ被告の娘は乗馬をやっていた。娘の高校の教師はチェ被告に電話をかけ、生徒の乗馬大会の出場回数を制限する学則について説明したところ、チェ被告は「待っていろ」と伝えるや、学校に押しかけたという。授業中だった教師に「表に出ろ」と怒鳴り、「お前をクビにすることなんか簡単だ。すぐ教育大臣に連絡する」と脅迫したという。
韓国は朝鮮戦争の後、廃虚から超高速で復興を果たした。ただ、経済成長とともに貧富の格差も生まれた。「教育」は、成長の階段を上り、自らを豊かにしてくれる最も公正で効果的な手段だと、韓国の人々は信じていた。そんななか、教育での不正が生まれていたことが明らかになった。しかも、本人たちは「不正」をはたらくことを「能力」だとはき違えていたのだろう。
韓国人の大学進学率は約70%…