序盤戦を終え、一時帰国した葛西紀明
ノルディックスキー・ジャンプ男子のワールドカップ(W杯)で、44歳の葛西紀明(土屋ホーム)が苦しい平昌(ピョンチャン)五輪のプレシーズンを送っている。個人第7戦を終え、自己最高は18位。4季ぶりに2回目に進めない試合も経験した。
20日に帰国した葛西が、胸の内を明かした。「アプローチ(助走)の姿勢が安定しないまま開幕してリズムが狂った。踏み切るタイミングも遅れ、焦りもあった」。一度狂ったからと、体に覚え込ませた助走姿勢をいじるのはリスクが伴う。この競技の難しさの一つだ。16歳からW杯に挑んでいるベテランは今回、疲れを残さないことを優先。助走姿勢の時に顔をあまり上げず、目線を下に向けることで微調整した。「一つずつしか改善できない。三つも四つもやると疲れる」
それでも助走スピードはトップから1キロほど遅く、飛距離を伸ばせていない。「30位に入る保険的なジャンプ。次は助走スピードを上げたい。思い切りの良さとかみ合えば上位にいける」。30日に開幕するジャンプ週間で浮上する算段を描いている。
帰国中は今年1月に生まれた長女とクリスマスを楽しみ、温泉につかり、ジャンプ週間に参戦する予定だ。「ジャンプを一回忘れて、頭をクリアにしたい。今の状態で個人総合10位以内に入るのは難しいので、試合で10位以内に入って少し自信をつけたい」。失ったものを取り返す戦いになる。(笠井正基)