リオデジャネイロの巨大キリスト像と記念撮影する観光客ら=田村剛撮影
ブラジル・リオデジャネイロのシンボルとして知られるコルコバードの巨大キリスト像が、維持・補修の資金難に直面している。管理する地元カトリック教会は寄付の呼びかけを始めた。一般の寄付を募るのは1931年の像完成以降初めて。これまでは大手企業などの支援で賄われてきたが、同国経済の低迷で、企業側の余裕がなくなったという。
標高709メートルの丘で両手を広げるキリスト像は、高さ約38メートル。年間300万人が訪れる観光名所だ。
教会側によると、人件費や補修費に年間約500万レアル(約1億8千万円)がかかる。像がある国立公園では入場料を徴収しているが、全て公園側の収入となり、教会には回ってこないという。最近では、落雷で指が破損し、イタリア企業の支援で補修された。
だが、ブラジルは資源価格の下落で不況が長引いており、リオ五輪が開かれた今年も3%超のマイナス成長の見通し。企業からキリスト像への支援金は減少傾向にある。
苦肉の策として教会側は13日から、「救世主キリストの友」と名付けたキャンペーンを始めた。寄付金で、老朽化した像の補修や避雷針の整備などを検討している。
キリスト像の建設には20年代に、一般から多くの寄付が集められた。教会側は「キリスト像が私たちを見守っているように、皆さんもキリスト像を守ってほしい」と呼びかけている。(サンパウロ=田村剛)