在日米軍再編に伴う米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への空母艦載機部隊の移駐について、在日米海軍は5日、今年後半から段階的に始めると発表した。日米政府の合意で「2017年ごろまで」としてきた移駐時期が初めて明示された形だ。
米厚木艦載機部隊、新空域で着艦訓練検討 岩国に移駐へ
計画では、横須賀基地(神奈川県)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機のうち、戦闘攻撃機など59機や厚木基地の米軍人ら約3800人を岩国基地に移す。艦載機の本拠地は現在は厚木だが、これを岩国に順次移駐する方針だ。日米政府が06年に合意した米軍再編のロードマップ(行程表)では当初、14年までに移駐完了としていたが、岩国基地の周辺住民の反発などで「17年ごろ」に延期されていた。
住宅密集地にある厚木基地の周辺では半世紀以上、騒音被害が続き、住民が国を訴えた裁判の判決が繰り返し違法状態と認定している。最大の騒音源は米軍の艦載機で、神奈川県と周辺自治体は、基地対策の最重要課題として移駐の早期実現を国に求めてきた。
米海軍の発表について、神奈川県知事と、厚木基地を抱える同県大和、綾瀬両市長は「一歩前進」としつつ、具体的なスケジュールや移駐後の騒音などに関する情報を早急に提供するよう、国に求める談話を出した。
移駐が完了すれば、岩国基地の所属機数は130機以上になり、嘉手納基地(沖縄県)と並ぶ極東最大規模の航空基地となる。地元・岩国市の福田良彦市長は移駐時期の発表を受け、「国に地元の理解を得て進めるよう要請した」などとするコメントを出した。(前田基行、吉村成夫)